タンゴ・碧空が鉛色の北国の冬に流たタンゴ喫茶の思い出
大学受験期、東北の県都に居たkazanです。
当時は、喫茶店はご法度。
まして、東北でも著名な歓楽街での喫茶店探訪は、小心者のkazanにはまさに、映画・スタンド・バイ・ミーの世界でした。
鉛色の冬場に、安手の防寒具越しに滲み込むミゾレ空の午後、紛れ込んだのが、「純喫茶・ポイルテニア」でした。
ドアを開けると、小さなドアフロアの先にブルーだったかワインレッドであったか、ビロードの緞帳のようなカーテンがあって、
入ると、むせるような暖房の熱気にホッと和んだ記憶があります。
そして、頼んだのが豆の名前も知らない、一杯のコーヒーで、それが出た時に流れたレコードの音楽が、音楽の素養もない田舎のガキであるkazanにも、青い空色が見えるような音楽でした。
思わず、これは何という音楽ですかと尋ねたら、教えてくれたのが 「タンゴで、”碧空”」 でした。
あれから40数年の幾星霜、アルフレッド・ハウゼの演奏する「碧空」を聴くたびに、この思い出が走馬灯のように海馬を刺激します。
今だに、大人びた、そして透き通るような白い肌の、黒髪のトテツも無く美人のママが居たような気がしてなりません。